【特別インタビュー】神奈川トヨタ自動車株式会社 中古車事業部 部長 遠山様(前編)

弊社では全国のトヨタ自動車販売店の広告など、デジタル周りの支援をさせていただいておりますが、今回は2017年よりお付き合いのある神奈川トヨタ自動車株式会社 中古車事業部部長の遠山様にお話を伺いました。


「中古車販売のビジネスモデル」や「デジタルとの関わり方」など、デジタル広告を含む中古車営業部門を統括する遠山様が感じたことを中心にお話いただきました。
当日は神奈川トヨタ様を担当する営業マネージャーの中村がインタビュアーを務めました。
全2回のうち前編では、遠山様のご経歴やデジタル施策を考える上で大切にしていることなどを伺いました。

遠山様のご経歴を教えてください。

1983年4月にトヨタカローラ横浜株式会社に入社しました。
学生時代は学校教諭の道も考えましたが、「車が好き」という理由で最終的には入社を決めエンジニアとして働き始めました。そして修理などのアフターサービスのフロントマンを経て、新車販売の営業職も経験しました。元々は、車が好きという動機で入社したのですが、こうした経験の中で「車よりも人が好き」ということに気づきはじめました。
修理の受付をやっている時も、お客様が困っていることをサポートしてお客様が喜んでくれることがとても嬉しいと感じていました。
その後、責任者として中古車販売に携わるタイミングがあり、そこから現在に至ります。

当初は自分の他にスタッフ3人と事務1人の5人という規模感でしたが、近隣で大規模な販売店を作る影響で人事変更があり、そのメンバーがほとんど異動してしまったことがありました。当時周りからは「大変だね」と声をかけられることが多かったのですが、自分自身はあまりそう思っておらず「やりたいことを好きなようにできる楽しさ」を感じていました。その時の経験は今の礎になっているとも思います。
お客様のことを考えた時にもっとこうした方がいいのではないか?と思ったアイディアを、誰かにやってもらうでもなく、許可をとってやらせてもらうでもなく、自分の責任の範囲で試してみるということがたくさんできたので、やりがいもあり、現場で直接お客様の反応も感じられて良い経験ができた時期でした。
何を試すにも「自分が人にやってもらって嬉しいことを人にやってあげる」
「相手が笑顔になってくれる」が大前提と思っていて、物事を判断するのは最終的には人なので、相手が喜ぶかどうかを判断基準にしています。例えば、メールを介していてもそれを見ているのは人ですし、ネットで発信してもその情報を受け入れるのは人です。人の心にどう訴えかけるかが自分の中で考えの基本になっています。


神奈川トヨタ自動車の中古車の販売モデルや競合との違いはなんですか。

現場で中古車を売っている時にすごく苦労したのは「お客様が買いたくなるような車が並んでいない」ことでした。ディーラーの中古車というのは、販売店で新車を買ってくれたお客様の下取り車が並んでいるということなので、前の持ち主が”要らなくなった車”が中古車になるというわけです。要らなくなった車を並べて売れるのか?とも思いつつ、それをどうにかするのが仕事なので日々色々考えながらお客様と対峙していました。


その時思ったことは「そもそも、まだまだ乗っていたいと思うような車が店頭に並べられれば、これ以上に中古車販売として嬉しいことはない」ということです。

だから1番こだわっていることは「お客様が欲しいと思う車を販売する」ことで、店頭でお客様が「なんでこれ中古車なの?」とか「なんで前のオーナーが手放したんだろう?」と思うような魅力的な車がたくさん店頭に並ぶこと。これが1番苦労したんですけど大事にしていることです。


かっこいい車を外から高額で買ってくれば簡単なことですけど、ディーラーの中古車販売店としてはそれは違うのであくまで下取り車で魅力的な車を店頭に並べることを意識しています。


そんな展示場を作り上げるためには、1度新車を買ってくれたお客様たちが新しい車をまた次々と欲しくなるようなプレゼンができるといいのではないかと考えています。

これまでは下取り時に、〇年式の〇〇という車種で…という相場に基づいた査定をしていたんです。でも、手放す人にも事情とか気持ちとか色々な価値観があるので、相場を考える必要もありますが、下取りの価格はその人が喜んでくれるかどうかを1番重要視しています。

スタッフの方からの下取り価格の相談を受ける遠山さん(左)と、実際に自分の目で下取り車を確認する様子。(右)

同じ車なら同じ下取り価格でないと不公平ということはなくて、お客様の気持ちに寄り添うことを重要視しているんです。


あとは当たり前ですが「お客様が車を手放してもいいと思える金額」と「中古車部門が買い取りたい金額」はイコールではないということです。店頭での価格に不満があれば、今はネットですぐに色々比較したり調べたりできる時代なので、そういう時代だからこそ対面でお客様と向き合っている、目の前のお客様に喜んでもらうということを大切にしています。


そうすると下取り車が増えて、中古車のビジネスチャンスも増える。
良い成果に必ず繋がると思っていますし、実際に目に見える実感もあります。


デジタル広告で意識されていることを教えてください。

HPなどのネットでも、広告でも出せばいいと思ってしまいがちなんですが、全て1つ1つPCやスマホを介して受け止める人の気持ちを1番重要視しています。例えばで言うと過去にあった話で、お客様からお問合せで見積依頼をいただくと、ほとんどのスタッフは定型文で返すんです。でも、そのやり方で売りたい側の気持ち、商品の魅力って伝わるのかなと思うのです。
それで、ある時あるスタッフに「お客様にメールを返す時にその人の顔や状況、服装までイメージしないといけない」という話をしたんです。その時は無理だって反応をされたのですが、1年以上経ってそのスタッフから「遠山さんの言っている意味がようやく分かった。自分の意識を変えるとお客様の反応も徐々に変わってきた」と言われることがありました。


やはりそのような経験からも、目の前にお客様がいない場面だからこそ、画面の先のお客様のことを想像することが重要だと再認識しました。特にデジタル広告は数値が重視されがちですが、それだけではなく、その広告を見た人がどう感じたか、どんな印象を持ってくれたのかなど最後は”人”の部分を意識しています。


前編はここまでです。後編では、遠山様が思うデジタル広告施策実施の目的や、
今後オムニバスと実現したいことなどをお話いただきました。併せてご覧ください。

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